2017年7月5日水曜日

裸・クレイジー・ロンドン

それは二年前のある日…

私は夜に友人とミュージカルを観る約束をしており、待ち合わせまでの間
Holborn駅にあるスターバックスに(フリーwi-fi目当てで)滞在していました。

隣に座っていた中国人の大学生が話しかけてきてくれたので、
項羽と劉邦の話なんかをしつつ時間を過ごしていたのですが…


突然、彼は何かに気づき、店を飛び出しました。


一体何が起こったのか分からないまま、店内に取り残される私…
しばらくすると、彼は携帯電話を抱えて、ひどく興奮した様子で戻ってきました。


曰く、「今外を、たくさんの全裸の人たちが通って行った」と。


事態が呑み込めずにいる私に、彼は自身のケータイを差し出しました。
「ホラ、見て!いるでしょう!?」


そこには、自転車に乗ったたくさんの全裸の人々が映し出されていました。
年齢や性別は様々ですが、どの人も揃いも揃って全裸、モロダシです。


私たちは悩みました…
「私たちアジア人にはわからないけど、イギリス人には、なにか全裸になる日でもあるのかな…?」

悩みに悩んだ挙句、一つの有力な回答が見つかりました。
奇しくもその日は6月の第二土曜日、エリザベス女王のお誕生日だったのです。

(エリザベス女王は4月21日生まれですが、4月のイギリスはまだ寒いので、
6月の第二土曜日を公式のお誕生日としてお祝いしています。)


「でも、女王のお誕生日だからって全裸になっていいものなのかな…?」
「しかしそれ以外には理由は見当たらないよね…??」

結局、満足な回答が得られないまま
友人との待ち合わせの時間になったため、私はスターバックスを後にしました。


それにしても、一般の公道で全裸など、考えれば考えるほどありえないことです。
あの写真は幻だったのかしら…

そんなふうに思えてきた矢先


いた。全裸だ。

現れたのは、一糸まとわぬ姿の老若男女。
どの人も、何食わぬ顔で堂々と公道を闊歩しています。

公の場で、こんなにたくさんの他人の裸を目の前で見たのは生れてはじめてだった私…
しばし呆然と立ち尽くしました。


しかもこの人たち、ロンドンの中心部をぐるぐると移動しているようで、
その後、街中で何度も遭遇しました。(3回目くらいでさすがに慣れてきた)

***

寮に帰るやいなや、私は友人たちに「今日街中で全裸の人の集団を見たんだけど!」と報告しました。
すると、友人の一人が「なんかあれ、環境団体の人たちらしいよ。」と教えてくれました。
(女王は関係なかったようです。)

もう服すら着ない、生まれたままの姿がスーパーエコということでしょうか。(でもサングラスはかける。)

知らない人の全裸を白昼堂々さんざん拝むという、
日本ではまずありえないであろう体験をし、
イギリスという国の底知れぬポテンシャルにもはや脅威すら覚えつつ
その日は眠りについたのでありました…。

***

…と、そんな思い出に浸りつつ、今年ロンドンの街中を歩いていたところ


今年もいた。全裸。

なんかもうこの人たち、単に脱ぎたいだけな気がしてきました。

おしまい。



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